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【#聴く珈琲_夏】6月の感想


このたびも #聴く珈琲 にたくさんのご応募をいただき、誠にありがとうございました。

夏のテーマは「夜の珈琲」。眠れない夜、誰かを想う夜、雨音に耳を澄ます夜、旅の途中の夜──。

同じ「夜」という時間を描きながらも、それぞれ異なる景色や感情が広がっており、選考は最後まで大変悩ましいものとなりました。

それでは、6月の受賞作品をご紹介いたします。


▶6月の結果はコチラ「【#聴く珈琲_夏】6月


〇最優秀賞

「ブラック&ミルク」  作:二宮白黒郎様

夜の静けさの中で描かれる親子の対話が、とても自然で心を打つ作品でした。

コーヒーの「ブラック」と「ミルク」を、父親と息子、それぞれの心情や距離感に重ね合わせた構成は見事です。ブラックコーヒーの苦味が人生の苦労や葛藤を、そこへ注がれるミルクが思いやりや許しを象徴しているようにも感じられました。

日常のひと場面だからこそ伝わる温もりがあり、読後には胸の奥がじんわりと温かくなります。

「夜の珈琲」というテーマを、人と人との絆を描く物語へと昇華させた完成度の高さを評価し、最優秀賞といたしました。



〇油屋賞

静けさに溶ける水無月」  作:シャブラン 様

梅雨の雨音と湯気の立つコーヒーが織りなす、穏やかな時間を描いた作品でした。

雨粒を眺めながらゆっくりと一杯のコーヒーを味わう時間には、何にも代え難い豊かさがあります。

読んでいるだけで部屋にコーヒーの香りが広がるような描写力があり、「何もしなくてもいい夜」という言葉が、この作品全体を象徴しているように感じました。

静かな物語だからこそ心に深く残る、まさに雨の季節に寄り添う作品です。



〇優秀賞(順不同)

「眠れない高度で」  作:ゆりなあと愉快な船 様

飛行機という閉ざされた夜の空間を舞台にした着眼点がとても印象的でした。

眠れない時間に飲む紙コップのコーヒー。その一杯が主人公の人生や孤独、これまで歩んできた道のりを静かに映し出していきます。

派手な感情表現に頼らず、淡々と語られる文章だからこそ、読者自身も機内の窓から夜景を眺めているような没入感がありました。

夜という時間が持つ静けさと旅情、そしてコーヒーが持つ安心感を丁寧に描き切った、美しい一作です。


midnaight dream」  作:細雪

自分自身と向き合う時間が丁寧に描かれていました。

眠れない夜だからこそ誰かと話したくなる気持ちや、言葉を交わすことで少しだけ心が軽くなる感覚が自然に表現されています。

コーヒーは単なる飲み物ではなく、人と人をつなぐ存在として描かれており、静かな余韻が最後まで続く作品でした。


お月様に珈琲を所望して」 作:あまなす/雨茄子 様

月に珈琲を届けるという幻想的な発想がとても魅力的でした。

詩のように軽やかな言葉選びと、どこか童話を思わせる世界観が心地よく、夜だからこそ広がる想像力を楽しませてくれます。

現実と空想の境界をやさしく行き来しながら、一杯の珈琲が夜空まで届いていくような、美しい読後感を残す作品でした。




おわりに

今回の6月は、5月以上に「物語として読ませる作品」が非常に多かったと感じました。

特に最優秀作品は「コーヒー」が単なる小道具ではなく、物語そのものの象徴として機能しており、その点が他作品より一歩抜けていました。


夏シーズンを通して、「夜の珈琲」というテーマから、本当にさまざまな物語が生まれました。


夜空を見上げる時間、眠れない深夜、家族と囲む食卓、旅先で迎える朝に近い夜──。

同じ珈琲でも、その一杯が持つ意味は作品ごとに異なり、人生の数だけ夜があることを改めて感じさせられました。


回を重ねるごとに、応募作品の文章力や構成力も着実に高まり、技巧を凝らした作品も増えてきています。しかし、それ以上に印象的だったのは、「誰かを想う気持ち」や「自分自身と向き合う時間」が、多くの作品の根底に流れていたことでした。


一杯の珈琲は、時に勇気となり、時に慰めとなり、時に大切な記憶を運んできてくれます。

この夏、皆さまが届けてくださった物語は、それぞれ異なる夜を照らす、小さな灯りのようでした。

たくさんのご応募、本当にありがとうございました。


季節は移り変わり、次は「秋」。

記憶と香りがテーマです。

引き続き、多くの一杯と出会えることを、心待ちにしております。



サポートメンバー:Yuki様

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